知る人ぞ知る実力派ヴァイオリニスト、奥村智洋氏によるバッハの無伴奏ソナタ&パルティータの全集がリリースされました。
これという決定盤のないバッハ無伴奏ですが、奥村氏の演奏をご存知の方なら、彼の演奏こそがその候補になるのではないかと想像できるに違いありません。このCDでは、そんな期待通りの演奏を聴くことができるのです。ジュリアード音楽院でパールマン以来という卒業演奏でのパガニーニ・カプリースの全曲演奏を成し遂げたという世界でも第一級のテクニックを持ちながら、大げさな表現を一切見せない奥村氏の演奏の真価は、曲によってはややもすると抑制的と誤解を受けるかもしれません。しかし王道中の王道を行くこのバッハこそ、奥村氏の真価を最もわかっていただける録音ではないでしょうか。