円熟期の名製作者トマッサンが、これ以上ない素晴らしい材料を使用して製作した入魂の作品であり、間違いなくその最高傑作に数えられる一本です。トマッサンの典型的な特徴である、気品溢れる流麗な作風が凝縮しており、演奏上のバランスもパーフェクトに仕上げられています。
さらに特筆すべきはその保存状態で、手元が全く磨り減っていないことは勿論のこと、なんと、オリジナルの糸ラッピングまでもが、製作された時のまま残っているのです。殆ど使われることなく眠っていた、まさに「奇跡の一本」です。
この評価は、名だたる名弓を鑑定してきた権威P.チャイルズ氏をして鑑定書に「superior quality」(上質)や「this fine bow is in mint condition」(この素晴らしい弓は新品同様の状態にある)などと、褒めちぎっていることから、決して大げさではないことがおわかり頂けるでしょう。
ため息が出るほど美しく、薫り立つ気品。深い透明感のある美しい音色と魔法のように軽やかな操作性。そして完璧な保存状態。まさしく非の打ち所のないトマッサンです。
スティック形状: | 丸弓 |
フロッグ材質: | 銀黒檀 |
スタンプ: | CARESSA & FRANÇAIS |
スティック長: | 72.8cm |
重量: | 60.2g |
製作年代: | 1930年頃 |
アメリカを代表する弓専門の鑑定家。弓に関する多数の著書がある。2008年にはロンドンでフランソワ・トルテを多数集めた展示会を主催した。
19~20世紀に活躍した弓製作家の中でも最も高い評価を得ている1人。Charles Nicolas Bazin の下で18年修行をした後、 Paris の Gand & Bernardel の工房で働き始め、この工房が1901年に Caressa & Français に引き継がれた際に独立した。 François Nicolas Voirin に影響を受けた流麗な製作スタイルが特徴である。その腕を見込まれ、独立後も以前の職場から製作注文を受けていた。このような経緯から、自身のスタンプの他、 Gand & Bernardel、 Gustav Bernardel、 Caressa & Français 等のスタンプの弓が存在する。